閣議決定された平成27年度税制改正について
◆NISAの普及と住宅市場活性化等
○ NISAの拡充
・ジュニアNISAを創設
20歳未満の者が未成年口座を開設して、年間80万円までの投資を非課税ですることができるようになります。
非課税口座の開設期間は、平成28年から平成35年までです。非課税期間は投資した年から5年間で、現行のNISAと同じです。
小さなお子さんは、当然、資産運用なんて出来ないでしょうから、親や祖父母が代理で運用して、子供の将来に向けて投資することになるでしょう。
・現行NISAの投資上限額の引上げ
現在の投資上限額の100万円が、改正後は120万円になります。
平成28年分以後の非課税管理勘定から適用されます。
○ 住宅ローン減税等の適用期限の変更
現行の住宅ローン減税の拡充措置は平成29年12月31日で終了する予定でした。
今回の改正により1年半延長されて、平成31年6月30日まで適用されます。
現行の住宅ローン控除額
一般住宅 各年分の控除限度額 40万円 控除期間10年 最大控除額400万円
優良住宅 同上 50万円 同上 同 上 500万円
◆最近の海外資産の課税強化の流れから
最近の海外資産の課税強化の流れから、今回の改正でも新たな税制が創設されます。
○国外転出をする場合の譲渡所得等の特例(出国時課税制度)の創設
時価1億円以上の有価証券等を有する等一定の要件に該当する者が国外に転出する際に、その有価証券を譲渡したものとみなして課税されます。
・対象者・・・ 出国前10年以内に、5年以上国内に住所や居所があった者
・対象資産・・ 株式、国債、社債、匿名組合契約の出資持分、デリバティブ
これらの合計金額が1億円以上の場合
・納税猶予制度・・・担保提供と納税管理人の届出を条件に納税猶予の適用があ
ります。また出国期間中に資産売却をしないで5年以内に
帰国すれば猶予所得税は免除されます。
つまり、国外転出後5年以内に帰国して、引き続き資産を所有していれば課税が取り消されます。
◆昨年から急速に普及してきた「ふるさと納税」の拡充
○ふるさと納税の拡充
導入当初は利用者は少なかったようですが、自治体からのお礼の特産品がマスコミなどに大きくとりあげられるようになり、昨年度から急速に利用する人が増えています。簡単にいえば、実質2千円の負担で特産品をもらえる制度です。数万円の価値のある特産品もあるそうです。
―改正点―
●寄付できる金額が2倍になります
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改正で住民税の控除額が2倍になったので、寄付できる金額も2倍になります。
ふるさと納税については、当メルマガ2014年8月6日(217号)で詳しく述べていますので、そちらもご覧ください。
●確定申告が不要になります
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ふるさと納税の恩恵を受けるには、確定申告して寄付金控除の適用を受ける必要がありました。
今回の改正で、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が導入され、基本は、確定申告不要で税額控除を受けることができるようになります。
・確定申告が不要になるのは、平成27年4月1日以降のふるさと納税から適用になりますので、寄付をするのは4月まで待った方が良いかもしれません。
・寄付先が5件の自治体までの適用です。
寄付できる金額が大きくなったので、いろんな特産品をもらうために5件を超える自治体に寄付した場合は従来どおり確定申告が必要になります。
以上が、個人課税関係の改正の概要です。
・2015年6月25日 配信