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決算対策:未払費用を漏れなくチェックして節税

決算において、仕⼊の買掛⾦はきちんと計上していても経費等の未払計上はあまり厳密にされていない場合が多いようです。細かく拾い出せば、意外に節税効果が期待できます。
(1) 労働保険料を未払計上
⼀般的には労働保険料を⽀払い時に経費計上している事業者が多いのではないのでしょうか。しかし、労働保険の申告書提出時に、保険料の全額を経費計上することができます。

労働保険は年度更新の⼿続を6 ⽉1 ⽇から7 ⽉10 ⽇までの間に⾏い(平成21 年から変更になりました)、7 ⽉10 ⽇までに納付しますが、概算保険料額が40 万円(労災保険⼜は雇⽤保険のどちらか⼀⽅の保険関係のみ成⽴している場合は20 万円)以上の場合⼜は労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合は7 ⽉10 ⽇、10 ⽉末、1 ⽉末の3 分割納付ができます。
① 例えば7 ⽉の決算法⼈であれば、10 ⽉末、1 ⽉末の保険料が未払いですね。それを未払計上すれば経費となり節税になるのです。
② さらに⾔えば、申告書提出時に全額計上できるわけですから、6 ⽉決算の場合は、6 ⽉末までに保険料の申告をしてしまえば、全額未払計上可能です。分割が認められない事業者でも、この⽅法なら節税に使えますね。

③ もっといえば、労働保険料の申告は前年度の3 ⽉末までの概算保険料の精算と今年度の概算保険料を計算して申告するものです。前年度の不⾜額は3 ⽉末で確定しています。不⾜分の未払額を計算すれば未払計上も可能です。これならば、3 ⽉から5 ⽉の決算法⼈も節税策として利⽤できるということです。

 

 

(2) 社会保険料を未払計上(健康保険料・厚⽣年⾦保険料)
社会保険料も⼀般的には⽀払い時に経費計上している事業者が多いと思います。社会保険料は当⽉分を翌⽉末までに納付する後払いになっていますので、1 ヵ⽉分(決算⽉末⽇が休⽇で振替されなかった場合は2 ヵ⽉分)を未払計上できます。
もちろん、経費となるのは事業主負担分(使⽤⼈からの預り保険料を除く)だけです。
(3) 固定資産税を未払計上
固定資産税も⼀般的には⽀払い時に経費計上している事業者が多いと思います。
固定資産税、不動産取得税、⾃動⾞税、都市計画税など賦課課税⽅式による租税公課の損⾦算⼊時期については、原則は賦課決定のあった事業年度とされています。
ただし、納期の開始⽇の事業年度⼜は実際に納付した事業年度において損⾦経理をした場合には、その損⾦経理をした事業年度となります。
固定資産税は、その年の1 ⽉1 ⽇時点の所有者に対して課税されます。市区町村で異なるようですが、4 〜6 ⽉に賦課決定され納税通知書が送られてきます。そして4 ⽉、7 ⽉、12 ⽉及び2 ⽉などというように4 期に分けて納付することになります。
この場合は、原則どおり、4 〜6 ⽉の賦課決定のあった⽇の属する事業年度に全額経費計上することがもっとも節税になるわけです。
(4)締め後の従業員給与を未払計上
通常、使⽤⼈の給料には“ 締⽇” があります。「20 ⽇締の末⽇払い」の場合、末⽇に⽀払った給与には21 ⽇から末⽇までの10 ⽇分の給与が含まれていません。末⽇が決算の場合には、この10 ⽇分を未払計上することができるのです。
決算期末での給与の未払い分を未払計上して節税しましょう。
注意点!
役員報酬については、⽇割りによる未払計上は認められません。

 

 

(5)クレジットカードで⽀払った経費を未払計上
通常、クレジットカードで⽀払いをした経費は、翌⽉もしくは翌々⽉に引落しになります。
引落⽇にカード利⽤明細から会計処理をしていると決算期末に未処理となる費⽤が⽣じます。
期末には、未落ちのカード利⽤代⾦を未払計上して経費の計上漏れを防ぎましょう。

 

 

注意点!
クレジットカードで⽀払いをした店からは、領収書をもらっておくようにしましょう。
余談になりますが、カード会社からの利⽤明細の保管だけでは、消費税法上の問題もあるのです。

消費税は、本則課税の場合、その計算過程で課税売上にかかる消費税から仕⼊税額控除を⾏いますが、そのためには次の事項が明瞭に記載された書類の保存が必要となります。

 

① 課税資産の譲渡等を⾏った事業者の⽒名⼜は名称
② 課税資産の譲渡等を⾏った年⽉⽇
③ 課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容
④ 課税資産の譲渡等の対価の額
⑤ 書類の交付を受ける事業者(⾃社)の⽒名または名称

 

これらの書類を7 年間保存する必要があります。カード会社の利⽤明細だけでは要件を満たしていないのです。

 

 

(6)⽔道光熱費・通信費等の経費を未払計上
電気代・⽔道代・電話代等も、その年のカレンダーによっては1・2 ヶ⽉分が未払いになる場合もあります。期末には経費精算もキッチリしましょう。
細かい⾦額も合計すると案外⾼額になることもあります。


・2015年7月11日 配信


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