決算対策:来年分の経費も先払いで節税
1 年分の家賃を⼀括して⽀払った場合、本来はその事業年度末までの期間に対応する家賃のみが経費であり、翌事業年度以降の期間に係る⾦額は前払費⽤となり、⽀払った年度では経費処理ができません。
しかし次の要件を満たせば、⽀払った年度で経費処理することが認められています。
(1)1 年以内にサービスを受けること
(2)期末までに実際に⽀払っていること
(3)継続的に1 年分の⽀払をすること
地代、家賃、リース料、保険料、⽀払利息などが対象となります
決算直前に来期1 年分の家賃を⽀払えば、⽀払った来期の費⽤全額が今期の経費として損⾦にできるわけです。
このような前払いをすると、前払いを始めた初年度は、それまで毎⽉⽀払った通常の家賃とあわせて計2 年分が、その期の経費になりますが、2 年⽬からは前払いする翌年1 年分だけが経費になるので、この節税は初年度の1 回きりの節税策ということになります。
短期前払費⽤の注意点
(1)⽉払契約から年払契約に、契約書の⽀払条項を変更するか、⽀払条件の変更に関する覚書を交わしておくことが⼤切です。
(2)役務の提供であることが要件なので、物品の購⼊には使えません。
(3)収益と対応させる必要のある費⽤は対象外となります。
たとえば ①借⼊⾦を預⾦で運⽤している場合の預⾦利息と借⼊利息。②借り上げ社宅の受取家賃と⽀払家賃。
(4)等質・等量のサービスという要件があります。
たとえば税理⼠などに⽀払う顧問料は、等質等量なものではないとされます。
(5)1 年を超える期間の費⽤を前払いした場合は、来期の分を含めて、⽀払った全額が損⾦処理できなくなります。
⽀払いは、現⾦だけではなく、⼩切⼿・⼿形で⽀払った場合も認められますので、⼿元資⾦がなくても実施可能な対策です。
・2015年7月12日 配信