繰越⽋損⾦を上⼿に使って節税
⽋損⾦とは“ 税務上の⾚字” のことです。決算書の「当期損失額」とは異なります。
⽋損⾦の税務上の活⽤⽅法には2 種類あります。
(1)⼀つは「⽋損⾦の繰越控除」です。
⽋損⾦を7 年間にわたって繰り越すことが可能で、 その間に所得(税務上の⿊字)が発⽣したら、⽋損⾦と相殺できる、というものです。
(⽋損⾦額が⽣じた事業年度において⻘⾊申告である確定申告書を提出する必要があります。)
(2)そしてもう⼀つが「⽋損⾦の繰戻還付」制度です。この制度は、⻑期間停⽌中でしたが、昨今の不況の影響もあり、21 年度の税制改正により、中⼩企業者限定で復活しました。
(停⽌中の間でも、開業5 年以内の法⼈など、⼀部適⽤可能なケースもありました。)
「前期に所得が出ていて税⾦を払っていて、当期⽋損だった場合、当期の⽋損分を限度として、前期に払った税⾦が還付される。」という制度です。
ではどちらを選択したら良いでしょう?
資⾦繰り重視なら断然「繰戻還付」でしょう。すぐに税⾦が戻ってくるわけですから、利⽤しない⼿はないかと思います。「繰越控除」の場合は、メリットを受けるのは1 年以上先になってしまいます。
ただ、繰戻還付は繰越控除に⽐べて要件が厳しく、下記の要件を満たすことが必要です。
⽋損⾦の繰戻還付の適⽤要件
(1)中⼩企業者等(資本⾦⼜は出資⾦の額が1 億円以下の普通法⼈等)であること(個⼈事業者は含みません)。
(2)前期(税⾦を払った年度)も当期(⽋損年度)も連続して⻘⾊申告をしていること。
(3)当期(⽋損年度)の確定申告書を⻘⾊申告により期限内に申告していること。
(4)確定申告書と同時に⽋損⾦の繰戻還付請求書を提出していること。
⽋損での申告ということは、当然⾚字の決算書になるわけです。銀⾏や取引先に決算書を提⽰する必要のある法⼈は、⼊念に検討をして下さい…。
・2015年7月21日 配信